2019年4月に日本で働き方改革法案が施行されてから既に約2年半が経過しており、それに伴って企業で生産性向上の重要性が日に日に強くなってきていることを感じます。
会社、あるいは上司から「生産性を上げろ」こんな事を言われる社会人の方は以前に比べてとても増えたのではないかと思います。
筆者ももれなくそんな事を言われる一員なのですが、“そもそも生産性に対する説明というものが不足しているのでは?”と思わずにはいられません。
世の中はいつだって不条理ですよねえ
生産性に対する理解がなければ当然上がるわけがないですし、上げるための方法も分からないのが自然の道理だと思います。
本記事では、そんなことを思う筆者が学んだ生産性に対する理解と、それを向上させるための思考法を紹介致します。
生産性とは
まずは生産性という概念についての理解を深めましょう。
もう十分理解しているよ、という方は「2.生産性向上に役立つ思考法5選」に進んで下さい。
公益財団法人日本生産性本部が発行している、「労働生産性の国際比較 2020」というものがあります。
その文中で、労働生産性の定義は以下のように定められています。
この式を言語化すると、労働者一人あたりがどれだけの付加価値を生み出しているか、ということになりますが、少し分かりにくいのでもう少し噛み砕いてお伝えします。
付加価値というのは、事業活動において投入された資源以上に得ることができた価値(利益)のことを言います。それを事業活動を構成する労働者個人レベルまで落とし込むと、以下のように言うことができます。
・投入された資源=労働者個人にインプットされたもの(時間、資金、物)
・生み出される価値=労働者個人からアウトプットされるもの(利益)
つまり、生産性というのは、「労働者一人あたりがインプットされた量に対してどれだけのアウトプットを出しているか」というように言い換えることができます。
これを再度式に表すと以下になります。
労働者個人の生産性=アウトプット/インプット
例えば投入された資源(インプット)が1に対して、生み出される利益(アウトプット)が10であれば生産性はとても高く、逆に0.1しか生み出せないのであれば生産性はとても低いと言えます。
つまり、普段からよく言われる「生産性を上げる」とは、与えられた資源からより沢山の利益を生み出していきましょうね、ということなんです。
前置きが長くなりましたが、次項ではより利益(アウトプット)を高めるために役立つ思考法をご紹介致します。
生産性向上に役立つ思考法5選
今回、有名なビジネススクールであるグロービス著の以下書籍から筆者が特にためになると思った内容をご紹介致します。他にも様々な思考法が記載されており、社会人必読の1冊となっておりますので是非。
1.常に物事を俯瞰して見る
現在あなたが行っている作業、目的が見えた上で行っていますか?ということです。
日常の作業に追われていると、これって本当に必要?と思うような作業が出てきます。
作業自体が目的化していて、何を目的として作業しているかが分からなくなるケースです。
例)毎月行っている定例会議、毎朝の朝礼、よく分からない申請など
本来その行動を実施する事で達成される目的があって然るべきですが、それが分からない状態になってしまうと、意味がなくなってしまいます。
そのため、作業の全体的な構造を理解し、それを俯瞰的に見た上で自分の作業が一連のプロセスの中のどの位置でどのような目的でやっているかをより明確にすることが大切です。
ついついやりがちな作業も、一度立ち止まって目的を明確化させましょう。
2.会社の上司・先輩を利用する
これ、言うは易く行うは難しだと思います。上司や先輩に何かを尋ねるのって何かとハードルが高かったりします。
・関係性が築けていなく話しかけづらい、いつも忙しそうにしている、といったような精神的なハードルがある
・他人の手を借りずに自分の手で成し遂げたい、というような誰しもが持っている自己主張(プライド)がある
ただ毎回ゼロから考えるのでは遅すぎます。
上司や先輩はあなたよりも会社にいる時間が長く、知見を蓄積していますし、彼らが過去に同じような案件で残した成果物が必ずあります。
これらを利用しない手はありません。はっきり申し上げて上記のような精神的なハードルやプライドは邪魔なだけです。多くの人が降りようとしてる電車の出入り口にずっと立っている人ぐらい邪魔です。
生産性を上げるためにはこれらを利用し、余った時間でより沢山の付加価値を上積みしていくことを考えていきましょう。
3.成功した時こそなぜ?を問う
人は失敗した時に反省する生き物で、「なんで失敗したんだろう?」「何がいけなかったんだろう?」と考え、失敗した要因を次に活かそうと考えます。
ところが、生産性の向上に本当に重要なのは成功した時の要因を探ることです。
成功した時は誰しもが嬉しいですし、つい浮かれてしまうため成功要因が何だったのかという所まで考えずに、成功したからいいや!ってなってしまいがちです。
ここで成功要因を疎かにせず、「なぜ成功することができたのか?」「何が成功に最も寄与しただろうか?」を考え、そこで得られた仮説や結論を検証していくことが大切です。
例)
なぜ大きな商談をまとめることができたのか?➠相手のニーズを正しく捉えられたから
➠なぜニーズを正確に捉えられたのか?➠現場の担当者と懇意であり、情報を聞き出すことだできたから
➠なぜ担当者と懇意になることができたのか?➠過去の顧客からの紹介で信頼関係の土台があったから
➠既存の顧客からの紹介を積極的に活用することで営業効率があがる?(仮説)
成功要因の仮説や結果の検証の結果、普遍性が高いものであれば、職場でその知見やノウハウを共有することで職場全体の生産性向上を図ることができますよね。
4.Less is more(要点を絞り込む)
コミュニケーション時における考え方に「Less is more」というものがあります。
これは、人とコミュニケーションを取る際に、あえて伝える情報量を少なくすることで効率を上げることができるという現象です。
コミュニケーション時にはついついこちらが意図していることを理解してもらおうと、より詳細な部分まで説明してしまいがちです。
ところが人間の情報処理能力には限界があり、特に目新しい情報を咀嚼するには相応の時間がかかるものです。
誰しも経験があると思いますが、プレゼンや授業などの際に早口で色んな情報を矢継ぎ早に与えられても、「この人結局何が言いたいの?」ってなって内容に関する興味が薄れてしまう、あの現象を防ぐための考え方こそ、「Less is more」なんです。
伝えすぎを防ぐために、伝えたいことの優先順位を正しく認識をする必要があります。
あるコンサルティングファームでは、プレゼン資料をつくる際には「1スライド、1メッセージ」というルール(制約)があるそうです。
このような考え方はプレゼンなどで有効活用できそうですよね。
重要なことにフォーカスして伝えるという意識を持つことが非常に大切です。
5.常にEnough?を考える
準備を行う段階で生産性を向上させる思考に、「Enough?(十分か?)」という考え方があります。
仕事はぶっつけ本番ということはかなり少ないです。
何かを提出する期日や実行する期日が決まっており、それに向けて事前に準備を進めます。
その準備が一通り終わった段階であなた自身に問いかけて下さい。
「準備はこれで本当に十分か?ヌケ・モレは確実にないのか?」
重要性が高い案件こそ、何度も何度も確認して下さい。
役員に提出する資料、全社会議で発表する内容、大事なプレゼン、、、etc
誤字脱字はないか?
分かりにくい言葉は使っていないか?
発表する順番、内容量は適切か?
内容に対する質問想定はしているか?
一度や二度の見直しではほぼ確実にヌケ・モレが発生します。
何事も準備段階で最終的なクオリティが全て決しますので、心して準備を進めましょう
まとめ
✔常に物事を俯瞰し、目的を明確化させる
✔上司や先輩のノウハウや成果物を利用し、余った時間でより沢山の付加価値を上積みしていくことを考える
✔成功した時こそなぜ成功したのかという仮説を立て、その検証結果から得られる知見・ノウハウを職場全体に共有する
✔伝えすぎず、重要なことにフォーカスしてコミュニケーションをとることを意識する
✔準備段階で何度も「これで十分か?」を考える
いかがでしたでしょうか。
生産性向上という言葉が囁かれだしてから久しいですが、生産性向上に必要な考え方を再度見直してみるのもいいかもしれません。
今回ご紹介した内容以外にも様々な考え方が載っていて以下書籍は本当におすすめですので、
最後に再度商品リンクを貼っておきます。
皆さんの生産性向上の一助になれますように。
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